1. Aが、Bに対して建物をCのために占有することを指示し、Cがそれを承諾しただけでは、AがCに建物を引き渡したことにはならない。
2. Bが建物占有中に、地震によって玄関のドアが大破したので修繕し、その費用を負担した場合でも、BはCに対してその負担額の償還を請求することはできない。
3. Bは、占有中の建物の一部をDに使用させ賃料を受領した場合、その受領額をCに償還しなければならない。
4. Cが暴力によって、Bから建物の占有を奪った場合、BはCに占有回収の訴えを提起できるが、CはBに対抗できる所有権があるので占有回収の訴えについては敗訴することはない。
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正解 3 (平成14年度)
1. 誤り。当該建物を現実に占有する者はAであるが、所有者Aもまたその占有代理人Bを介して占有権を有すると認められる(民法181条)。代理人(B)によって占有をなす場合において、本人(A)がその代理人に対し以後第三者(C)のためにその物を占有すべき旨を命じ、第三者がこれを承諾したときは、その第三者は占有権を取得する(「指図による占有移転」、民法184条)。すなわち、これにより,AがCに建物を引き渡したことになる。
2. 誤り。占有者は,占有物を返還する場合においては,その物の保存のために費やした金額その他の必要費を回復者に償還請求することができる(民法196条1項)。
3. 正しい。悪意の占有者は果実を返還しなければならない(民法190条1項)。ここで悪意の占有とは,占有すべき権原がないことを知り、又はその権原の有無について疑いをもってする占有と解されている。AB間の売買契約は既に解除されており、Bは悪意の占有者である。
4. 誤り。占有者は,その占有を奪われたときは,占有回収の訴えを提起することができ(民法200条1項)、その占有の訴えにおいては本権に関する理由に基づいて裁判することができないとされている(民法202条2項)。つまり、Bの占有を侵奪したCに所有権があっても、それを理由にBの占有回収の請求を否認することはできない。
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