1. Bは、Aに対してCとの間の売買契約を委任したが、Aが、DをCと勘違いした要素の錯誤によってDとの間で契約した場合、Aに重過失がなければ、この契約は無効である。
2. Bが、AにB所有土地を担保として、借金をすることしか頼んでいない場合、CがAに土地売却の代理権があると信じ、それに正当の事由があっても、BC間に売買契約は成立しない。
3. Bは未成年者であっても、Aが成年に達した者であれば、Bの法定代理人の同意又は許可を得ることなく、Aに売買の代理権を与えて、Cとの間で土地の売買契約を締結することができ、この契約を取り消すことはできない。
4. AがBに無断でCと売買契約をしたが、Bがそれを知らないでDに売却して移転登記をした後でも、BがAの行為を追認すれば、DはCに所有権取得を対抗できなくなる。
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正解 1 (平成14年度)
1. 正しい。意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫等によって影響を受ける場合において、その事実の有無は、原則として代理人について決定される(民法101条1項)。本肢では代理人Aが要素の錯誤によって契約を締結しているので、Aに重大な過失がなければ、この契約は無効である(民法95条)。
2. 誤り。代理人がその権限外の行為をした場合において、相手方が代理権があると信じ、かつ、そう信ずベき正当の理由があるときは、正当な代理行為と同様に本人にその法律効果が生じ、本人はそれを拒むことができない(「権限外による表見代理」、民法110条)。したがって、BC間に売買契約が成立する。
3. 誤り。未成年者Bがその法定代理人の同意又は許可を得ることなく、他人に代理権を与え、その代理人を通じて自己所有の土地の売買契約を締結したときは、Bは、制限行為能力を理由としてその契約を取り消すことができる(民法4条1項・2項)。この場合、代理人Aが行為能力者であったか否かは関係がない。
4. 誤り。本人BがAの無権代理行為を追認すれば、Bにその法律効果が生じ、BC間に売買契約が成立する(民法113条1項)。その前にBが当該土地を第三者Dに売却したことは追認の妨げとならない。一方、当然のことながら、BD間の売買契約も有効に成立している。したがって、本肢はBからCへの譲渡とBからDへの譲渡の二重譲渡があった場合の問題となり、登記を得ているDは、Cに対してこの土地の所有権の取得を対抗することができる(民法177条)。
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