1. 建物が完成した時を始期とする賃貸借契約において、建物建築中に経済事情の変動によってAB間で定めた賃料が不相当になっても、建物の使用収益開始前にBから賃料減額請求を行うことはできない。
2. AB間の建物賃貸借契約が、Bが当該建物をさらに第三者に転貸する事業を行ういわゆるサブリース契約である場合、使用収益開始後、経済事情の変動によってAB間で定めた賃料が不相当となっても、Bから賃料減額請求を行うことはできない。
3. Bが賃料減額請求権を行使してAB間に協議が調わない場合、賃料減額の裁判の確定時点から将来に向かって賃料が減額されることになる。
4. Aが賃料増額請求権を行使してAB間に協議が調わない場合、BはAの請求額を支払わなければならないが、賃料増額の裁判で正当とされた賃料額を既払額が超えるときは、Aは超過額に年1割の利息を付してBに返還しなければならない。
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正解 1 (平成16年度)
1. 正しい。賃料増減請求権は、建物賃貸借が効力を生じ、賃借人の使用収益の開始後に行使することができる権利である。
2. 誤り。賃料増減請求権を行使することができる賃借人の範囲に、制限は設けられていない。
3. 誤り。賃料の減額について当事者間に協議が調わない場合において、裁判により減額を正当とする裁判が確定したときは、当初から賃料が減額されていたものとして扱われる。減額の裁判が確定した場合に、超過額の返還を義務づけている借地借家法32条3項は、これを前提とした規定である。
4. 誤り。賃料の増額について当事者間に協議が調わない場合には、賃借人は増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める賃料を支払えば足りる。もっとも、その後に賃料増額の裁判で不足額を生じたときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付して支払わなければならない(借地借家法32条2項)。
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